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Ken & Yumiko Hirataさん

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その日は総勢4人、ノースショア地区でだいぶん迷ってから、ハレイワにある「波花―ハワイアン焼酎カンパニー」に到着しました。

 

小さく楚々とした「ナミハナ」の看板が、閉じたゲイトにブランブランとかかっているのを見つけた時は、全員キャーッと黄色い歓声(はい、全員女性軍でした)。これでやっとハワイ産の本格イモ焼酎が飲める、それもあろうことか、サーフィンのメッカ、有名なオアフ島もハレイワタウンで。

 

ゲートが開くと、広々とした敷地には青い空と菜園が広がり、遠くにはパイナップル畑も見渡せます。そこに突然、イナセな酒造家平田憲さんと都会的な奥様の由味子さんが、犬のイモちゃんと一緒に出迎えてくださいました。仕込みの途中ではゲートを閉めて集中するとか。原材料のイモから、仕込み、麹作り、蒸留、ラベル貼り、出荷まで、すべてを夫婦二人でこなしているというハワイアン焼酎カンパニー。春秋二回3000本ずつ限定の出荷とは言え、一時も目を離すことができないのは、焼酎を作り出すとは、心を込めた長ーい作業、ちょうど、赤子を育て世に出すプロセスに似ているからでしょうか。

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【可愛い番犬、いもちゃんが出迎えてくれる】

 

酒造場に入るなり、その広々とした空間に、何とも言えない懐かしい香りが漂っています。これは、甘酒を思い出させる麹の匂い、日本人にとって麹が醸し出す香りは、何とも心を和ませます。ちょっとサウナ風呂を思い出させる(失礼!)伝統的な麹部屋では、カルフォルニア米の国寶ローズを蒸して黒麹と白麹が作り出されます。そして、その麹は、芋焼酎たるゆえんのイモが加わって、今では100年選手だというカメ壺の中で、ぶくぶくと息をつく紫ピンクの「生き物」になっています。中に入っているコイルは、生き物が元気で熱くなりすぎないようにする冷却装置だそうです。
imo【発酵過程の紫芋は、とても綺麗な紫ピンク。特製の瓶は日本から輸送してもらったもの。】

 

「ナミハナは、鹿児島の本格的イモ焼酎の酒造方法で、ハワイ地元の材料を使って、ハワイの空気と太陽と土とで、いわばハワイに作ってもらっている焼酎です」

ナミハナというネーミングは、ノースショアのシンボルであるプレメリアのレイにちなみました。

 

酒造家になる前はジュエリーの商品企画のお仕事をしていたという憲さん、軽いノリで、と謙遜しますが、その脱サラの決心、うーん、大変だったのではと、勝手に想像します。それから、芋焼酎の伝統で有名な鹿児島県霧島の万膳酒造に弟子入り、本格焼酎の手法を一から学びます。
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【落ち着いたゆっくりとした口調で、焼酎造りへの熱い想いを語ってくれた Ken さん】

 

「…って言っても、学校と違いますからね、普通は10年も15年もかかる修行ですが、師匠が3年だけ一緒に働かせてくれると承諾してくださったので、見様見真似でした」

厳選素材を使った手造りの麹造り、本樽蒸留で焼酎を作り出す技は、温暖な南国鹿児島ならではの伝統技術です。きっと、修行の道のりは並大抵のものではなかった事でしょう。でも、憲さんはあくまでサラリと「はじめは師匠に、何度も断られましたけど」と付け加えただけでした。

 

3年終わった時に師匠が「これからは一人で難儀しなさい」と送り出してくれました。見切り発車です。鹿児島に気候が近い土地、ハワイを選んだのは、ハワイにポイがあるなら、タロイモがたくさんあるはずだと、考えたからでした。イモ焼酎は南国の酒なのです。それからは、ハワイでの土地の賃貸、カメ壺の輸入、原料の仕入れ、出荷先のネットワーク作り、寝る間も惜しんでの何年間でした。

タロイモを使うつもりでしたが、「ハワイ人にとってタロイモは神聖なもの。それを原料に酒は造ってもらっては困る」と、思わぬ反対が入った事もありました。神聖なコメを使ってお神酒を作る日本人とは、やや違う考え方ですね。それとは反対に、カメハメハ財団というローカル財団が、広大な土地のリースに承諾、思わぬ所からたくさんの地元のサポートを受けることもできました。現在焼酎の直売はこの酒造場でしかしていませんが、ホノルルからも時間をかけて買いに来てくれる愛飲家の中には、ローカルの人もたくさんいます。

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【工場内は、とても綺麗に整頓されていて、備品や道具も美しく磨かれている。平田さんご夫婦の焼酎造りに対する姿勢が至る所に見られる。】

 

私達がある人を「成功した人だ」と思うのは、どんなところをみて言うのでしょうか。平田憲さんと平田由味子さんご夫婦にお会いした時、実はこのライター、この方たちこそ「成功者だ」と思いました。

もちろん、脱サラを果たし、「タノモウ」と伝統酒造技術を学び、ハワイにそれをもってきてアメリカ国内では唯一の焼酎酒造をしている、それは、一つの成功といえるでしょう。でも、成功とは、知名度や、資産や、影響力だけではないでしょう。ある人が一つの夢を持ち、その夢の実現を信じ、夢に向かって努力を続ける、そして夢をしっかりと叶えたというところに、本当の成功があるのではないかと思ったのでした。由味子さんの大阪人らしい「何とかなるんじゃない?行けんちゃう?」と信じた言葉どおり、作った焼酎は今まで全て完売しています。

 

もろみの時代の紫いろは、そのすっきりとした蒸留酒には全く跡形もありません。沸騰させて蒸気となったアルコールを、水分に戻すという作業でできたお酒が、焼酎だからです。おしゃれな瓶に収まったハワイ産のイモ焼酎ナミハナは、ハワイの熱帯雨林から降りてくる天神の涙のように透明です。何気なく見えるこの透明の液体は、それはそれはアルコール度が高く、舌に含むだけで体中がポカポカとなります。あれだけの目に見えない努力と、平田さんご夫婦の心からのケアが、その一滴一滴に凝縮されているのです。一口ずつ試飲させていただいた私達の体は、もうすっかりハワイの火山の温度になってしまっていたのでした。

 

焼酎ナミハナ
(写真)300本限定のバンザイストロング

 

Hawaii Shochu Company

Haleiwa, Hawaii 96712

Facebook: https://www.facebook.com/hawaiianshochucompany/

Contact Info: Kaloimo@gmail.com

波花(なみはな)- True Aloha Spirits

「波花」は、ハワイの美しい自然と日本の伝統技術が造ったハワイの島酒です。「波花」はオアフ島ノースショア、ハレイワにて醸された島酒:本格的プレミアム焼酎です。

(Hawaiian Shochu Companyの広告から)

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