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Tom Abeさん


日曜日の朝、きらめく海を臨むアラワイヨットハーバーは、絶好のアロハ空、そして極上の風も頬にそよそよ。

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阿部さんのボートが停めてある、アラワイ・ボートハーバーの景色。青い空と白いヨットのコントラストが綺麗。

 

「洋上のロールスロイス」と呼ばれるイタリア生まれの美女、50フィートのリーバ社豪華船「プリティウーマン」号の上で、トム・阿部さんこと阿部知二さんにお会いする。実は、始めてお会いした時トムさんは、クルーズ船には全く関係のない「バスタブのドクター」として、我が家にやって来た。バスタブドクターとは、古くなったタブを、新品と換える代わりに、特別コーティングでフェースリフトをするというお風呂のメイクオーバー業。

 

「僕みたいにいろいろやって来た人間、あまりハワイにいないから」という言葉に、興味深々。「え、一体何をやってきたんですか?」

 

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綺麗に手入れが行き届いた、プリティーウーマン号の上で、ポーズをとるトムさん。
 

トムさんが、この豪華船を買ったのは2年前、今年のお正月あたりから、海上プライベート挙式のできるハワイでは唯一のクルージングサービスを始めた。出だしは好調だ。今年秋にはもう一艘、65フィートのイタリア製クルーザー購入の計画もある。こんな豪華船のオーナーとは思えない、ざっくばらんで気取らないトムさんは、ハワイに初めてやって来た20代の頃の事を思い出す。

 

「一人で来たの。26の時だったかな。ネクタイ締めて満員電車に乗るっていう生活、俺は無理だなあって思ってね」

 

スーツケース2つ、バイトで貯めた5000ドル、大型ラジカセ(当時はこれがカッコよかったんです!)、それがトムさんの所持品全てだった。自分の眼で世界を見たい、絶対に成功してみせると、信念だけは持っていたけれど、現実は25セントのバス代もケチり、どこでも徒歩で通う生活だった。最初の宿泊所は、ホノルルはキングストリートの2階建てのアパート。半分傾いたアパートの一階が男子、女子は二階と学生寮のような場所に居をかまえた。ハワイに来る前はインドを放浪していたから、そんな住処でも御の字だ。仕事を見つける為にワイキキのホテルに日参、ヨットハーバーを横目でみながら、夢は必ず実現させる、いつか必ず船のオーナーになろうと思って歩いていた。

 

「舞子レストランのキッチンヘルパーから始めてね、次は紅花の鉄板焼きシェフをやった。」器用なトムさんは、料理はすぐ覚えた。「いやあ、なんちゃってシェフだよ」と謙遜するが、その頃流行りだした紅花店の鉄板焼き器27台の重労働の掃除を、人に率先してやる負けず嫌いの努力家でもあった。

 

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紅花時代のトムさん。なんでも新しいことに挑戦するのが好きだった。

 

紅花がヒューストンの2号店を開ける時、企業戦士として送られたが、新しもの好きで見切りを付けるのも早いトムさんは、1000人乗り帆船 Windjammer の営業部長に抜擢されたのを機に、サッサと転職した。

 

「飽きっぽいだけだよ」とまたまた謙遜。しかし、自分なりに極め、努力し、そして納得すれば、未練なく次のチャレンジを目指すのはあっぱれ。日本を飛び出して成功する人達に共通するのが、このチャレンジ精神と果てしない好奇心、そしてタイミングを掴む判断力。次はハワイの不動産業に乗り出す。だからと言って、不動産でなければという気負いもそれほどなかった。

 

「一応不動産の資格でも取っておこうかなあ」程度だった。でも、試験を受けるなら落ちたくない。やっぱり勉強しようと、一時は集中した。頑張り屋だから仕方がない。バブルの時期でもあり、海外に不動産を求める資産家も上昇中だった。トムさんのリアルター業は、アラモアナに事務所をあけ、スタッフも10人まで増えて、どんどん発展して行った。

 

「月にコミッションだけで$5万~$6万になる時もあったよ」という美味しいビジネスだったが、バブルは短かったし、人を使う苦労も並大抵ではなかった。トムさんはそれから、ワイキキで「タンポポ」というクラブの経営に乗り出した。これまた好奇心と決断力のなせる業。それから、「銀の鈴」、「クラブエンジェル」と、ハワイの中心地で次々と3件もの経営が追風に乗った。

 

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トムさんの人生は、逆境にも負けずゴールに向かう、というより自然な川の流れに従うように生きてきた、という。

 

「まあ、心配しないタイプかな」新しい事が好き、誰もしていない事を見据えて、自分でビジョン構想を立ててレールを敷いていく。そこに思い描いたような乗り物を乗せてやる。それがレールの上を進んでいく。トムさんには、そのクリエイティブな行程がたまらない。勿論、全てが成功したわけではない。2006年にベトナムで始めてみたキャバレー業は、思ったようには発展しなかった。それはそれでいい。見切りを付けるのも早い。こだわらないし、くよくよもしない。やりたい事を精一杯やってみる、そのこと自体が「成功」だ。結果もさることながら、行程を満喫するのは、これは日本の茶道の精神にも通じるのでは。

 

バスタブのリニューアルの仕事も、ハワイではトムさんと同じレベルでやっている所はないという。不動産で成功してもそこに安住せず、新しい技術を学ぶために、オハイオまで自費で研修に行った。ペンキの微妙な調合具合などを伝授してもらって、古いバスタブを見違えるように変身させる。ハワイは中古のマンションも確実に売れて行く市場で、バスタブを安価にリニューアルできるのは、不動産売買では大切な要素の一つ。そこに目を付けたトムさんのプロの眼は鋭い。

 

「臨機応変」がモットーのトムさんは、豪華船のオーナーでバスタブのドクター、器用な手先と長年の人脈を利用して、ハンディマンもこなしてしまう。勿論、飲食店飲み屋業時代のネットワークも強みだ。

 

「そりゃビジネスでも何でも、成功させようと思ったら、楽な事ばっかり考えていちゃだめだね」努力は怠らないトムさんだけれど、変に焦ったり、未練がましくこだわり続けたりもしない。ちょうど川の流れにのるように、サラサラと生きること。その流れの方向性を敏感に感じ取ること。川はいつか海につながる。その大きな海は、トムさんが愛してやまない「プリティ・ウーマン号」を漂わせ、ゆったりと包んでくれるのだから。

 

プリティーウーマン号のインフォーメーションはこちら:http://www.prettywomancruise.com

 

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