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オハナ ~Ohana~

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ハワイの創世神話を伝える長編叙事詩「クムリポ」によると、大地を母に、大空を父に生まれた美しき娘ホオホクラニは、成長して子を宿します。

最初に産んだ子は未熟児であったため、その子を土に埋めると、そこからタロ芋が芽を出します。
2番目の子は、このタロを食べて成長し、ハワイの人々の祖先となったという事です。(余談:所で子供達のお父さんは誰だったんでしょうか。)
タロはカロとも発音され、その後同じ一つのタロ株から生まれた人間たちを「オハナ」という言葉で表すようになりました。オハナの「オハ」はタロ芋の茎を指す言葉で、「ナ」というのは、複数を表す言葉だそうです。

 

オハナというハワイ語は、「家族」と訳されることが多いですが、ハワイで暮らしていると、この家族の意味がとっても広い事に気づかされます。「親戚」もオハナですし、最近亡くなった「ご先祖さん」もオハナ、ハナイと呼ばれる同居養子もオハナです。自分達が暮らすコミュニティをオハナと呼ぶこともあれば、血がつながっていなくても学校、職場や教会の仲間を、オハナと呼ぶ場合もあるようです。

 

ハワイにやってきて間もなく、娘の学校が歩いて行ける距離だったせいか、スポーツのチームメートたちが放課後ぞろぞろやって来て、しばし我が家でお喋りをしていくことがよくありました。ワシントンDC郊外に住んでいた時も、似たようなことがありましたが、クラスメート達は私に対しては、「ミセス~」とか、「~ちゃんのママ」とか呼ぶのが普通でした。
ところが、ハワイに来ると、全員から「アンティ」とよばれます。姪でも甥でもないティーンから「アンティ」と呼ばれるのに慣れず、初めは返事が、数テンポ遅れました。スーパーなんかで知らない若者に「アンティ」なんて呼ばれるのには、まだ慣れません。「なんか、馴れ馴れしくない、アナタ?」と思ってしまって。姪でも甥でもなくても、オハナ概念で考えれば、ハイ、アナタのオバサンなんでしょうけどね、私も。

 

このアンティと言う呼び方は、とても尊敬を込めたものであるというのが、わかってきたのは、ハワイ文化の「ホ・オポノポノ」クラスを聴講した後の事です。

講師は、純粋ハワイアンと自称するベリーザ先生。恰幅よくいつも笑顔を絶やさない先生を、私はいっぺんに大好きになりました。先生は「皆さん、私を『アンティ・アロハ』って呼んで頂戴ね」と自己紹介。クラスには、コミュニティカレッジだけあって、20歳前後の学生は勿論、州政府のスタッフや他の学科の教員、勤労学生もいます。定年後勉強しているという人も混じって、種類も豊富でした。でも、どう見ても先生より年上に見えるよなあというご老人が、「アンティ」と呼びかけているのには、これまたなかなか慣れることができませんでした。これまた、オハナなんですね。(アンティに比べアンクルっていうのは、使用頻度が低いように感じますが、ハワイ在の読者のご意見は?)

 

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”アンティ・アロハ”ことアリソン・ベジーラさん Photo from http://www.hawaii247.com/2014/03/05/auntie-aloha-teaches-hooponopono-workshop-saturday-march-22/

 

このオハナクラスで最初に決めたことが、誰がいつ食べ物を持ってくるかという事でした。
ハワイの集まりで食べ物が欠かせないのは、わかっているつもりでしたが、カレッジのクラスにもそれが当てはまるらしいのですね。学生達も心得たもので、食べ物と言ってもハンパでない分量と種類。炊飯器を持ち込んで、仕出し屋のようにシチューをサーブするものもいれば、机の幅から落ちてしまいそうな大きな入れ物に、マカロニサラダがこれでもかと溢れる程。バケツサイズのZippysフライドチキン、巨大なスパムムスビがあるかと思いきや、コスコで仕入れたポテトチップスの大袋が連立。一体、クラスなのか、屋内ピクニックなのか分からない程です。それがこのオハナクラスでは、毎週なんですね。そこでアンティ曰く、「ハワイ文化を理解するなら、アロハとオハナよ。オハナで大切な事は、何でしょう? そうです!まず皆で一緒に食べることです!」

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ハワイのポットラック(みんなが食べ物を持ち寄って一緒に食べるパーティー)はすごい食べ物の量

 

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デザートまでたくさん集まる

 

オハナは、最近ではホテルやリゾートの名前に使われたり、レストランのオハナメニューになったり、日本でもハワイ・オハナ・フェスティバル何ていうのが開催されたり、大活躍の言葉になってしまいました。しかし、このオハナという言葉、「古代ハワイでは、現代のような意味では使われてなかった、ここ半世紀程の『創作された意味』だ」と反論する学者さんもいるそうな。*それは、ハワイ文化はこうであって欲しいという、外部から来た人々の都合の良い解釈が、オハナを一人歩きさせてしまったのだと言うのが理由だそうです。

なにはとまれ、ハワイのオハナ、オハナのハワイ。まあ、アンティでも何でも、仲良く和気藹々と、集う事、楽しむ事、食べることは、いいことだ!

http://www.angelfire.com/hi2/hawaiiansovereignty/ohana.html

 

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