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(心と)足のお友達 〜スリッパ〜(Hawaiian Style “Slippah”)

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海で新品のスリパを盗まれました。お天道様を拝みに行くビーチウォークで、浜辺の草むらにちょいと置いて歩いて帰ってきたら、もう影も形もなかったのです。悲しい!せっかく贈り物にもらった癒しのスリパだったのにィ~!

とは言っても、新品を盗まれるのは、古いスリパを盗まれるのとは、心のショックが違います。古いスリパは自分用の足の形がちゃんとついていて、なじんだ感じ、長年連れ添った連れ合いですよね。まあ、ですから、誰も盗みませんね、普通は。ハワイでいうスリパ(Slippahとスペルする)とは、日本のトイレなどで履き替えるあれではなく、ビーチサンダルのことです。

 

米国本土からハワイに移動してきた時、ローカルの学校に行った娘が、「ママ、ハワイではフリップフロップっていわないんだよ」と、私の「メインランド英語」を直してくれました。オバマさんもハワイ休暇の際は、大統領としては初めてスリパを履いた姿を公開撮影したそうです。サンダルとかフリップフロップと本土英語で言ってしまうと、ハワイではダサいのでした。

 

スリパの元祖サンダルの起源はとっても古くて、紀元前1500年も前のエジプト時代から、人々はサンダルを履いていたということです。履いたり脱いだりが簡単で、足の指に風通しのよいサンダルは、インドでは「ハワイ・チャパル」、ブラジルのポルトガル語では「ハビアナス(ハワイという意味)」と呼ばれているそうですが、これがギリシャに行くと「サヨナレス(日本語のさよなら?)」、ブルガリアでは「ジャパンキ」、ロシアに行くとなぜか「ベトナムキ」と呼ばれているそうな。ハワイではこれがスリッパーならぬスリパですね。

 

1800年代にやってきたキリスト教の宣教師たちは、裸足で歩きまわるハワイ人たちを見て「野蛮人だ!」と足元からの改宗に努めようとしました。もちろんハワイの人も薬草を集めるために岩場に分け入ったり、熱い溶岩原を歩くときなどは、ティーリーフ(フラでも使うしっかりした葉っぱ)で作った簡易履き物を履いてはいたようです。でも、老若男女、「裸足で砂を踏むととっても気持ちがいいのに、わざわざなぜ足を締め付ける必要があるの?」と、裸足のままでした。いくら言っても、靴をはいてくれないハワイ人に、業を煮やしたカトリックの神父さん、Kiaweというトゲトゲのいっぱいついた南米原産の樹木(マメ科の刺ラテンネムノキ)をハワイに移入します。裸足を禁じるためですね。これで裸足のハワイアンがぐっと減りました。だって、誰だって痛いのは嫌ですから。靴じゃないけど、スリパならまあ、何とか。

 

スリッパは、ロングスで一足2ドルで買えるスリパから、100ドル以上の高級品まで、より取り見取り。スリパは履き物としてだけじゃなくて、瞬時にゴキブリ叩きにも使えるし、ちょっと手が届かなくても、背伸びしてマンゴ落としにも使えます。こういうのには2ドルくらいのスリパでよろしい。風が強い日はビーチタオルの4隅押さえにもなれば、ガタガタするレストランのテーブルの脚の下に突っ込んで安定させるのにも抜群。二つ重ねてタオルで包めばちょっとしたビーチ枕かお座りのお尻あて。水泳のハンドパドルに使うサーファーもいるらしい。

 

日本からのサトウキビ畑労働者が持ってきたゾーリと下駄の文化、クリスチャンが啓蒙して広めた足履き、色や値段にいろいろあれど、スリパはすっかりハワイのローカル文化の一つになりました。ハワイアン航空の機内誌のハナホウの今月号では、ハワイのスリパをこんな風に描写しています。スリパは、「(ハワイの人の)倹約さ、謙虚さ、そして、他人のつま先を踏みつけないようにするという文化を表すものなのです。」

 

うーん、倹約さって、他人のスリパ盗まないで倹約してほしいですが。今はどこの誰かが履いてくれているんでしょう、私のオニューのスリパ。これからは足の形がつくまで、ビーチを歩く時もバックに入れて持って行こうっと。

 

参考:ハナホウ誌(2016年6月~7月号)http://hanahou.com/pages/magazine.asp?Action=DrawArticle&ArticleID=975&Page=1
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