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プルメリアの一輪

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ゆかり姐御のアロハなつぶやき、第一回のお話は、ハワイに戻ってきた時のUターンカルチャーショック体験を披露します。

それは東海岸からインポートされて来て間もないある日の夕方6時半。ビッグアイランドの第2都市ヒロ市を一人で歩いている時の事でした。

 

ヒロ市は人口たったの5万人弱、日が落ちると人通りも絶えて、ほとんど真っ暗になります。これは、マウナケア山のてっぺんに観測所を抱える島全体がダークナイトを条例で支援しているせいもあるのですね。街灯も普通の町にあるような蛍光灯のド明るいものはなく、オレンジ系の昔の電球のような色。(低圧ナトリウムランプ、LPS)だから本当に暗くなってしまって、星を観測している天文学者たちも、町の光に影響されずにお空が観れるというわけです。

 

ハワイに到着したばかりの私は嬉しくて屋内にじっとしていられず、一応ウォーキングエキササイズと称して町中をうろうろ。しかし、思ったより急速にかなりの暗さになり、少し不安になってきました。家までまだ15分くらいはあるし、まずい!ニューヨークやワシントンDCに暮らしてきた身としては、こういう暗い所を女性が一人歩いているというのは、掻っ払いや脅しなど、怖い人が登場するのをお誘いしているようなもの。実際にニューヨークでそういう体験済みの私は、アメリカに暮らす限り、危険信号察知するように叩き込まれています。

 

携帯電話くらいしか持っていないけど、それをぐっと身にくっつけて、イヤフォンなんかは外して、我ながら肩がいからし顔の筋肉も緊張し、警戒体制に入ります。

 

この小さい路地を抜ければ、あっちには確かマクドナルドのお店か何かがあったはず、と思って速足になったまさにその時、なんと前方から誰かがこちらに向かって来るではありませんか。暗いからよくみえないけどぉ〜、かなりの大型の体格の人だ!あ、アロハ着ている男だ。何か黒くて大きくて強そう〜、ああ、どうしよう。しかし、狭い路地!後方に戻るにはかなりの遠距離だし、前に進むしかないっ、ああ!

 

イチかバチかの状態で、眉間にしわ寄せた一番タフそう〜な表情をあわてて作り、その怪物のように見えた歩行者を意を決して狭い場所で交差。

 

と、すれ違う瞬間に何ということか、ぷ〜んと、とっても甘〜い匂いがしてくるではありませんか?これ?何の香りだっけ?

 

そして、その歩行者の顔が見えるくらいになって、その「怪物さん」は耳に白いプルメリアの花を一輪差しているのがはっきりと目にとまりました。

 

「え?男性も花を飾るんですか?左側って、パートナー募集中?」と、そんなことが急に思い出されます。

 

一瞬呆けている私を前に、あろうことかその人は、今まで見たこともないような大きな口を開けて、何十年も会っていなかった幼馴染かなんかに会うような、トロリと甘い表情をして私に微笑みかけたではありませんか。そして、すれ違った瞬間に大きな口で、「アロ〜ハ!」って、そう言ったのです。

 

私にですよ。ニューヨーク仕込みのタフなキャリアウーマンの私に。今にも反撃できるぜって顔だけは作っていた私に、耳に花つけて、アロ〜ハって!

 

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それは自分がハワイ以外の場所で、心を荒ませて生きてしまっていたんだなあと、しみじみ思わせてくれた一瞬でした。男が耳に花飾っておかしいって誰が決めたわけ?暗いところで男の人に会ったら、警戒せよっていつからそうなったわけ?夜でも町中が明るいって、いつからそう思い込んでいたわけ?それが私のカムバックハワイの体験でした。

 

ハワイに暮らすと、人間の元の部分に戻ったようなそんな生活ができるようになった気がします。自然や環境や他の人間たちが作るコミュニティーの一部の、一人の自分でいいんだなって、そんな生活って言えるでしょうか。そんな風なスタンスで、ハワイのニュースをお届けできれば、うれしいです。アロ〜ハ!

 

Yukari-Profile-300x300

本名、国陶ゆかり。青山学院大学、メリーランド州立大学卒、ハワイ州立大学、コロンビア大学修士号。駐日米国大使館、在日米国商工会議所、東京中日新聞ワシントン総局などの勤務を経て、カリフォルニアのInstitute of Transpersonal Psychologyにてトランスパーソナル心理博士課程修了、心理学博士。ハワイのオアフ島でライフコーチも。著書「聴いて癒す:アメリカのホスピスの現場から」2015年Amazon Kindleより出版。

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