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Hawaii Rainbow ~虹の話~

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ハワイに暮らしていると、虹は毎日のようにあちこちに登場し、空を見上げる私たちの眼を楽しませてくれます。

雨や霧が、緑多き谷に局地的に降ることが多く、こっち側では太陽が照っているのに、谷側では霧雨なんていう、日本語でいう天気雨の「キツネの嫁入り」が多いため、虹の登場は頻繁で、ハワイの美しさが一層引き立ちます。ラッキーな日は、主虹の上に二本目の虹が見えたり、稀にですが太陽の周りをぐるりと囲む丸い虹や、月虹(げっこう)と呼ばれる夜の虹に出会うチャンスもあるようです。私はまだ体験していないので、いつか見れることを楽しみにしていますが。

 

虹は、太陽の光が、空気中の水滴によって屈折、反射してできるものですが、厳密にいうと私の見ている虹と、隣で立って見ているあなたの虹は、実は微妙に違うんだそうです。

反射の角度は見ている人の視点によって決まるからです。ハワイの海から上がる朝日を受けた虹の美しさは、言葉では言い尽くせませんが、あなたの見ている虹は、本当はあなただけのスペシャルなものだとすると、その貴重さが増してきますね。

虹は、本当は太陽の周りにぐるりと出ているのだそうですが、私達に見えるのは、ビルや地平線が邪魔して半弧の部分だけ。太陽が出ている反対側の方向を中心にして42度の角度で見えるのが普通だそうです。お日様の角度がこれに近いのが朝か夕方である事から、日中よりもこうした時間が虹を見るチャンスです。

 

今度二重の虹に出会うチャンスがあったら、目を凝らして7色の虹のカラーの順序を見てください。主虹は赤が一番外側ですが、その上に薄くかかった2本目の虹(副虹という)は7色の順番が逆になっている事に気が付かれるでしょう。つまり、赤色が一番下になっています。これは光の2重の屈折がなせる業だそうです。

 

rainbow2
カイルアビーチ、朝のダブルレインボー

 

雨の多い日本に沢山の雨の語彙があり、エスキモーたちに雪の言葉が沢山あるように、ハワイの虹にも、いろいろな種類の名称があります。例えば、古代ハワイの人々は、虹には男虹と女虹があると考えていました。男虹は、まるで空から海に直滑降で飛び込むかのような力強い赤が主流の虹。女虹は、優しく癒しの雨とやってくる紫が多い虹。そして、子虹。青や黄緑が中心の虹。

ハワイでは大有名人のカメハメハ大王一世は、ハレーすい星とともに生まれたと言われていますが、ハワイの人はハレーすい星を「白い虹」と呼んだそうです。緑虹、これは大きな嵐が来る前兆だそうで。また、雨弓が地平線を這うように出る時は、地震などの災害があると信じられてきました。私達が虹に持つ「希望」や「夢」などとちょっと違い、ハワイの人にとって、虹は、神や高貴なもののサインであったり、死の予兆や大災害の前兆と考えられることもありました。東北震災の数時間前に、この予兆の虹が出たという人もいます。

 

ハワイ大学のマノア校のあるマノア谷は、年中虹がかかる事で有名です。ハワイ大学のアスレチックチームの名前は、「虹の戦士(Rainbow Warriors)」。女子チームは「虹の女達(Rainbow wahines)」と言います。ハワイの言葉で虹は、「アヌエヌエ」と呼ばれていますが、ハワイの虹で一番有名なのは、このマノア谷の「虹の乙女カハラ・オプナ」の伝説です。

 

マノアの山の風の神を父に、雨の神を母に生まれてた虹の乙女カハラ嬢は、もちろん絶世の美女。しかし美女の宿命で、多くの男に言い寄られます。当然、中には変な奴がいて、そういうのに限ってしつこく迫るわけです。このしつこい悪男カウヒは、他の男に取られるのが厭さに、なんと乙女を殺してコアの木の根元に埋めてしまいます。これって、ドメスティックバイオレンス系統の悪男ですな。殺されてしまった虹乙女の守護神が慌てて乙女を生き返らせますが、悪い男はしつこくまた乙女を殺害。殺害と再生が何と5回も繰り返されたのです。

悲劇の虹乙女の運命を助けたのは、カモイリイリ(今のモイリイリ)地区の勇士マハナ、絶対にハンサムで勇敢、かつイナセな若者だったことでしょう。イナセ君には霊のヘルパーが付いていて、智慧を使って悪男を成敗。二人はマノア谷に戻っていつまでも幸せに暮らしました、とさ、とこういう伝説です。

嫌な男に言い寄られ、殺されても何度も生き返る虹乙女は、虹をこの世界と霊の世界の架け橋と考えたハワイの人達の、希望の象徴でもあったという事でしょうか。虹に死や災害の前兆を見たハワイ人たちも、虹が希望の象徴でもあった事がこの伝説からもうかがえますね。

参照:
http://www.nijilab.com/Hana Hou “Signs & Wonders” by Anthony Aalto, Vol. 15, N5 Oct/Nov, 2012http://hanahou.com/pages/magazine.asp?MagazineID=70&Action=DrawArticle&ArticleID=1131

 

 
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